特に昨年辺りから何かと話題になっている無料のショッピングカートとして「STORES.jp」と「BASE」があります。

どちらも登録無料で利用できるショッピングカートであり、STORES.jpであれば5点まで無料、BASEの場合は商品登録無制限でさらに利用金額無料となっており、乗り換えや引っ越しを検討している店舗様もあるかもしれません。

さらには、Yahoo!JapanからYahoo!ショッピングの参入までもが無料になったとのことで、EC業界はまさに戦国時代に突入したと言えるのかもしれません。

では、従来のカラーミーショップを含む有料のショッピングカートの時代は終わってしまったのか? ということになるのですが、それは決して違うことを声を大にして言いたいのです。

無料のショッピングカートとの比較

まず、無料ショッピングカートの場合、無料ではありますがショップデザインはほぼ選べません。

似たようなテンプレートの中からトップページ画像を入れ替えて使う程度でしか差別化が図れないのです。
そのため、自店舗らしいデザインと言うのはほぼ不可能に近く、さらにHTMLやCSSのカスタマイズ自体が出来ない仕様ですので、限られた与えられた環境のみでほぼすべてを作らなければなりません。

その分簡単に利用できるのですが、1商品ごとにブランディングを施すことは出来ず、ランディングページも作れないので、必要に合わせて外部サーバーを使う、ブログから誘導するなどの必要性があります。

SEO対策としても決して強いわけではありません。

しかし、無料と言うのは非常に心強く、投資コストがかからないのは大きな魅力と言えるでしょう。
さらに、クレジットカードにも対応していますので、特に何か登録や外部サービスを使わずとも決済機能は揃うのも強みです。
(ただし、クレジットカード決済後、入金を受けるまでに一週間程度かかります。)

1商品に対して差別化が出来ないため、メイン店舗として使うにはなかなかコツがいること、外部メディアを使ってブランディングしなければならないことがネックですが、逆にこれができるのであれば、無料ですので悪くはないでしょう。

Yahoo!ショッピングとの比較

これまで楽天と同様に年間コストが非常に高額になりがちだったYahoo!ショッピングの利用無料化が2013年における最も大きなネットショップ業界の変動と言っても過言ではないかもしれません。

日本最大級のポータルサイトYahoo!JAPANのお膝元ですので、その影響力は非常に強く、巨大モールの参加を考えながら、コスト面で諦めていた方であっても朗報と言えるでしょう。

しかし、勘違いしてはならないのは、「全てのサービス利用が無料」と言うわけではなく、基本サービスが無料であって、決済機能に関することや広告出稿、一部の機能については有料です。

Yahoo!ショッピングのランディングページを詳細に見てみると分かるのですが、小さな文字で書いてあったりするのでお見逃し無く。

とは言え、それでも月額コストは非常に少額であること、楽天からの引っ越しを検討している所も多いようですので、そのインパクトは非常に大きな物と言えます。

問題として、楽天やAmazonに出店することについても同様ですが、ショッピングモールに参加すると言う事は、自店舗のブランディングを放棄することと同じことでもあります。

思い返してみると、楽天内には数多くのお店があるにも関わらず、購入店は覚えていないということの方が多いのではないでしょうか。Amazonでも、Amazonで購入したつもりがマーケットプレイスによる別店舗だったという経験があるかもしれません。

つまり、ショッピングモール内に出店すると言う事は、あくまでそのモール内での購入と一括りにされてしまうため、自店舗としてのアイデンティティの多くを失うことになります。

他店との差別化を図るのが難しくなるとも言えますので、やはりこちらも安易に乗り換えるのではなく、二号店、支店扱いとしてブランディングしたい店舗と分けておくのが上手な運用方法となるかもしれません。

どちらのサービスもメイン店舗としては難しい。しかし支店としては非常に大きな戦力となるかも?

まとめると、このような無料のネットショップサービスは無料という一点がピックアップされがちですが、冷静に見てみると、やはり様々な問題点が出てくるものです。

対して有料のショッピングカートはコストこそかかるものの、柔軟性は非常に高く、完全オリジナルな自店舗として運営が出来ますので、やはりその点は無料では出来ないことでしょう。

ですので、安易に引っ越しや乗り換えを考える、新規でメイン店舗として活用すると考えるのではなく、店舗自体のブランディング(価値化)、ショップ上でやりたいことなども全て勘案した上でメイン店舗を選定するべきです。

当サイトとしてはこのような無料ネットショップはメインではなく、あくまで支店として、メイン店舗ありきでその下に無料サービスを利用するという方法がいいかと思っています。